Entangled Dimensions : 縺れた次元

佐藤 壮馬

2023年11月04日 - 2023年12月04日(土、日、月 開場)

「空間」での展覧会の第一回として、現在札幌を拠点に活動している佐藤壮馬の個展を開催いたします。

佐藤壮馬はこれまで、自身がロンドンで過ごした自宅を3Dスキャンで克明に記録した映像作品や、倒れてしまった神社のご神木の元に何度も訪れリサーチやフィールドワークを重ねた彫刻作品、生まれ育った恵み野に並ぶ住居を即物的に写した写真作品などを制作しています。これらの作品は文化や風土、人々の記憶や慣習をテーマとしており、それらの主題は個や社会における居場所やアイデンティティと深く関係しています。佐藤は、現代の科学的で文化的な世界のはざまで、私たちの身体や心をとりまく周辺領域との関係性について探求しています。

作家が居住する菊水と展示会場となる「空間」は偶然にも徒歩圏内に位置し、その間を結ぶ一条大橋を起点に作家のアプローチが始まりました。本展では、「家」として居住してきた空間やその周辺を題材にした作品と、現在の作家の最も親密な領域である「場所」との関わりから生まれた作品で構成されるインスタレーションを展示します。

 

「空間」をはじめるにあたって

nicojica(道立近代美術館2Fのカフェ・ギャラリースペース)を閉店することになって、少し美術から距離を置き、法律業務に専念しようかな(川上は弁護士でもあります)、と思っているときに、この空間の紹介を受けました。

空間はかつて工場二階の長屋だった場所です。現在は壁も取り壊され、鉄骨とトタンがそのまま残った倉庫になっています。ただただ何もない。水道もないし白い壁もないし、「ないことをあげたらきりがない場所」、というのが最初の印象です。

ただ、何か引っかかるものがあって、nicojicaの退去であふれた物品を運びながら、「なにかできるのかも・・・なにかがあるかもしれない」とぼんやりと考えていました。
そんな時に、いつもシニカルに物事を眺める大橋が、この「空間」については珍しく目を輝かせて話していたのを思い出しました。私も「なにかがあるかもしれない」との直感を信じて、ポジティブに創作に向き合っていくことにしました。

私たちが「あるかもしれないなにか」を信じて始めたプロジェクトがこの「空間」です。

 

「あるかもしれないなにか」を見つけること

最初の展覧会は、佐藤壮馬さんにお願いすることにしました。制作を通じて、「空間」の「あるかもしれないなにか」を見つけていってくれるのではという期待がありました。

今も、佐藤さんは、丁寧にこの「空間」や場所に向き合い、ここが「空間」になるまでに時間をかけて残されてきた様々な痕跡を掬い上げていっています。掬い上げられた痕跡が積み重なって、この無機的な「空間」が匂いや手垢や色彩を帯びてくるような、そんな感覚があります。こうして「空間」が、「あるかもしれないなにか」として始まっていくのかなと思っています。

そんな新たな「空間」の始まりをぜひご覧ください。

2023年10月2日 「空間」 大橋鉄郎、川上大雅

ARTIST

  • 佐藤 壮馬

    佐藤 壮馬

    1985年、北海道生まれ。モノやイメージ、個や社会に内在する自明ではないものや逃れられないものとの関係性について考察し、多分野にまたがるアプローチを写真・映像・彫刻・インスタレーションなどのメディアに反映させている。 東京、ロンドンでの活動を経て、現在は札幌を拠点に活動。近年の主な活動に、第23回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品選出(2020)、KyotoSteam(2022/京都市京セラ美術館)、第16回shiseido art egg賞(2023/資生堂ギャラリー)などがある。

INFORMATION

スケジュール

2023年11月04日 - 2023年12月04日(土、日、月 開場)

時間

13:00 - 19:00

会場

空間

住所

〒060-0041
北海道札幌市中央区大通東8丁目1−62
スクランブルガレージ2階

※駐車場はございません。お手数ですが近隣の有料駐車場をご利用ください。